現在は全国で移住(田舎暮らし)ブームが起こっている。なかでも長野県は移住先として人気のようで、ニュースやローカル番組にて移住者の特集がよく組まれるようになった。
ここ最近では地域おこし協力隊の活躍が目立ち、空き家となった古民家を再生する働きが活発になっている。
空き家が有効活用され居住者が増えることは素晴らしいのだが、移住者すべてが長野県にフィットするわけではない。一部の方は理想とのギャップに苦しみ、元の地へ戻ってしまうのだ。
そこで今回は長野県中信生まれで大学から30歳まで東京に暮らしていたUターン組の私が、信州移住で後悔・失敗しないための物件探し(環境)のコツをまとめてみようと思う。
憧れだけじゃダメ!長野県で覚悟すべきポイントは2つある
長野県は海こそないが豊かな自然に恵まれている。
県内は田舎が溢れているし、レジャー施設も充実。緑が住宅街の近くにあるので雑踏にストレスを抱く人には住みやすい県だ。
大都会・東京と信州を比較するとこんな感じかな(あくまで個人的見解)。
東京は雑踏と言う部分を無視すれば快適に暮らせる環境が整っている印象だね。
一方で長野県はこんな感じ。
信州は自然という贅沢の中で暮らせるという点が魅力。
どちらも異なるモノで溢れているね。
ちなみに私が東京から地元信州へUターンを決意した主な理由はこちらの3点。
1)都会の過剰なサービスとそれに甘えている自身が嫌になった
2)雑踏にストレスが溜まった
3)インターネット環境さえあればどこでも仕事ができるから
結論から言うと私のUターンは大成功だった。今も快適に暮らせているし、さまざまなストレスから解放された。がしかし、これはあくまで私のケースでしかない。
都会から地方への移住を希望する人の多くは、現在よりも幸せな生活が送れることを望んでいるに違いない。長野県はそういった意味でIターンに適していると思うけど、憧れだけで移住すると間違いなく失敗または後悔する。
「おいおい・・・いきなり物件探しの意欲を削ぐの?」と思われるかもしれないが、長野県の風土を知らずに移住することはあまりにも無謀。きつい言い方をするなら何事も憧れだけでは実現できないということ。
ここ信州に暮らすなら覚悟すべきポイントが2つあるので、物件選びをする前に是非とも把握していただきたい。
信州の冬はガチでしんどいぜ?
長野県の冬は実に厳しい。都会暮らしに慣れた方からすると凍てつく寒さに耐えられるかどうか・・・。
気象庁が発表する松本市の平年値によると、1月の平均気温は-0.3℃、最低気温は-4.9℃。2月の平均気温は0.6℃、最低気温は-4.5℃。最低気温がプラスになる日が多くなるのは4月を迎えてからなのだ。
ぶっちゃけ都会の冬とは比べ物にならないほど寒い(都会に染まっていた頃の私は信州の容赦ない冬の厳しさをたびたび痛感した)。
山沿いの住宅ともなると水道管が寒さで破裂するし、積雪で外出が困難になることもある。特に雪かきは想像以上の重労働だし、公道以外の道は除雪車がやってこない(地域によっては来るところもある)。だから自宅から公道までの雪かきは自身で行わなければならない。
さらに古民家に暮らすとなれば、物件の断熱・耐久性が乏しく積雪しやすいので様々な対策が必要となる。
また、長野県は都会と違って電車やバスが頻繁に動いていない上に雪の影響を受けやすい。なのでそれらとは別の通勤手段を検討しなければならない。なお、積雪時の車道は渋滞するので自動車通勤の場合は早起きを余儀なくされる。
そういえば以前、長野県移住を検討する大阪府在住の御夫婦が冬の信州に一定期間だけお試しで暮らす様子がテレビで放送されてたなあ。ご夫婦はあまりにも寒い日々に驚愕し断念したんだっけか・・・。
雪国在住の方が長野県へ移住するケースなら問題ないかもだけど、都会からIターンを希望する方は覚悟が必要だと思う。
天童よしみじゃないけど、信州の寒さは舐めたらアカン。
移動手段は基本的に”自動車”になる
長野県は交通公共機関が整っていない。
田舎になると電車もバスも数時間に1本というのがザラ。むしろそれぞれが走っていない地域も沢山ある。
すなわち信州における主な交通手段は「自動車」なのだ。
エリアによってはコンビニすら存在しなかったり、市街地までの移動距離が長いなんてケースも珍しくない。つまり、都会のように徒歩で買い物ができる気軽さがないのだ。
よって自動車を持たず生活したい場合は、長野市や松本市などの商業施設が充実する駅前エリアを選択するか、駅やバス停が近くにあるエリアを基準にする必要がある。
田舎と呼ばれる地域は移住者にとって憧れが詰まっているように思えるが、立地が悪いケースも多いので注意しないとダメ。通勤・通学はもちろん買い物や通院がスムーズにできないと生活が困難になる。だからこそ立地を十分に把握したうえで移住を決めねばならない。
うん、やっぱり自動車はマストだと思う。
駅が近くにない場所へ行かねばならないことも出てくるだろうし。そう考えると原付バイクくらいは必要だと思うね(冬は厳しいけど・・・)。
長野県の移住に失敗・後悔しないための3か条
長野県へ移住する覚悟ができたならいよいよ本題。
まずは県内のどの地域に暮らしたいのかを具体的にしてほしい。
信州は山に囲まれた標高の高い地。寒暖差が激しく低湿度、降水量が少ない内陸ならではの特徴をもつ。
長野・上田・佐久エリアは雨が少なく、中信・南信エリアは季節風の影響によって低湿度で晴れ日が多い。標高の高いエリアは平地よりも気温・気圧・湿度が低く、日射量が多くなる。
なお、長野県各地の気候チェックには統計サイト「気温と雨量の統計」が役立つ。
Googleマップで地図や街並みを見ながら、気候チェックをすれば大体のイメージはつかめると思う。ただし現実を知るには体験が一番なので数回は現地へ足を運んだほうがいい。
風土を把握したら次は「立地」を考える。
通勤・通学は難なくできるか?
買い物や通院などはスムーズにできるか?
これらは生活をする上で極めて重要なポイントなので絶対に中途半端にしてはいけない。また妥協もしてはいけない。
立地も体感してわかることが多々あると思うので、何度か足を運んで確かめることをおすすめする。
立地条件をクリアできたら「物件探し」となる。
一般的なアパートやマンションの1室に住みたいなら「住宅情報サイト(SUUMOやChintaiなど)」がおすすめ。一軒家や田舎暮らしに最適な空き家に住みたいなら市町村が運営する「空き家バンク」がおすすめとなる。
ここ最近は古民家再生ブームが到来しているので空き家を検討中という方は少なくないかも。ただし、空き家はデメリットの方が多かったりするので、契約前に聞けることは片っ端から聞いて疑問をゼロにすべき。
そうすれば失敗や後悔しない物件選びができると思う。
最善の方法は”移住お試し住宅”の利用
移住で失敗・後悔しないためには現地の風土や特徴をよく把握することだ。
情報はあくまで情報でしかない。百聞は一見に如かずという諺があるように、何事も現地で体感したほうが100%わかる。たとえどれだけの覚悟を持って移住を決めたとしても、いざ長野県に住んでみたら理想とかけ離れ過ぎていて・・・なんてケースは珍しくないのだ。
それに住んでみてわかる新たな問題なんかもあったりする。
これを解決できるのが各市町村が提供する「移住お試し住宅」なんだよね。
移住お試し住宅とはその名のとおり、移住検討者に対し一定期間のみ貸し出す物件のこと。
この取り組みを実施していない市町村もあるけど、利用条件は多くの場合「移住を真剣に検討されている方」となっている。
ちなみに塩尻市の移住お試し住宅はこんな感じ(※2019年5月現在)。
塩尻市の移住お試し住宅
賃貸料:12,000円/週、36,000円/月 光熱水費込み
賃貸期間:1週間単位、最長2か月まで
入居対象者:塩尻市外に在住しており、塩尻への移住を検討されている方引用:塩尻市振興公社
移住お試し住宅の多くは数週間ほど滞在できたりする。それだけの滞在期間があれば風土はもちろん生活環境なども把握できる。さらに仕事を探す余裕もあるので積極的に活用すべきだね。
詳細はこのページでチェックできる。
信州移住におすすめの物件選びサイト2選
最後に長野県への移住におすすめの物件(空き家)選びサイトを2つ紹介する。
先の「移住お試し住宅」を有効活用しながら最適な物件を見つけると後悔のない移住が実現するかもしれない。
私個人としては目の前のあなたをすぐにでも移住させたいし、長野県民になってほしいと真剣に思っている。だけど人間が新たな地で生活することは容易じゃない。
だからこそ中途半端なプッシュはしたくないのよ。
ぜひ移住お試し住宅とこれから紹介する物件選びサイトをフル活用して納得のいく移住をしてもらいたい。
楽園信州空き家バンク
楽園信州空き家バンクは長野県が運営する県全域の空き家情報を取り扱うポータルサイト。
長野県の空き家・古民家物件を把握したいなら間違いなくおすすめ。情報をすぐにチェックできるだけでなく、ある程度の相場も把握できるのでかなり役立つ存在になると思う。
空き家情報がエリア毎に分別されているのがメリット。このおかげで探しやすいんだよね。
移住や田舎暮らしを検討されている方はまず楽園信州空き家バンクからチェックするといい。
ココスマ!
ココスマ!は長野県の物件情報を豊富に扱うポータルサイト。
空き家はもちろんのこと、賃貸物件や事務所、工場、貸地なども取り扱っているので目的に応じて検索できる。
また、サイトが地域別で分けられているので利用しやすい。
ローカルに特化した物件ポータルサイトとなっているので是非とも役立ててほしい。
引用:
長野県松本市の平年値/気象庁【1】
「気温と雨量の統計」【2】
塩尻市振興公社【3】
長野県ならではの情報記事一覧
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