沓沢湖



釣り・アウトドア

かつてバス釣りの聖地だった沓沢湖の現在

投稿日:2018年10月19日 更新日:

かつて長野県中信地方でバス釣りの"聖地(メッカ)”と呼ばれていた湖がある。

そう、塩尻市洗馬にある「沓沢湖(くつざわこ)」だ。

今現在もバス釣りができる中信地方の水系は、松本市の田溝池か塩尻市の小坂田池のみ(他にもバスが生息する池は沢山あるが釣り禁止)。今となってはそれぞれ非常に貴重な存在だが、全盛期の沓沢湖は両者を寄せ付けないほどの人気を誇っていた。

そんなかつての聖地も現在は水がすべて抜かれ、埋め立てられようとしている。

スレたバスをいかに攻略するか追求したあの頃

ブラックバス

ブラックバス

 

私がバス釣りをはじめたのは小学校5年か6年生のとき。ちょうどその頃、バス釣りブームが到来。ブラックバスが近くで釣れる水系が沓沢湖だったこともあり、よく足を運んだっけか。

でもさ、まともな釣りなんてできないの。日中はまるで"満席の釣り堀"状態だったから。

だからまともにやっても釣れっこなかった。夜になっても竿を振るアングラーは珍しくなかったくらいだし。静寂が訪れるのは深夜くらいだったんじゃないかな。

沓沢湖の規模はけっして大きくはない。野池よりは大きいが一般的な湖とされるそれと比較すると小ぶりという印象。そんな小さな湖が釣り堀状態になるんだから当時は凄かったなーと。

沓沢湖の上空写真

上空から撮影された沓沢湖 / 引用: Wikipedia

 

それは表現を変えるならブラックバスへのプレッシャーが尋常でなかったということ。事実、ひっきりなしに訪れるアングラーによって沓沢湖のバスたちはスレにスレていた

ただし、早朝だけは唯一バスたちの気が緩む時間帯だったんだよね。当時流行した『常吉ワーム』をスプリットショットでズル引きすると数本は上げれた記憶がある(小・中学生のとき)。

以降、私は30代前半になるまで釣りから離れていた(再開したのは2017年春の小坂田池)。あらためてバス釣りをやるようになったけど、沓沢湖のスゴさ・ありがたさ・魅力は今だからこそわかるんだよね。

ホント贅沢だったなぁと思う。

スレたバスをいかに攻略するかに燃えていた当時は、バスフィッシングを純粋に楽しめていた気がする。

しかし、もうあの頃の沓沢湖は存在しない。今現在は完全に水が抜かれ、埋め立て工事が進行中なのだ。

では、なぜ沓沢湖はもぬけの殻になってしまったのだろうか。

 

沓沢湖の水が完全に抜かれた理由

まだ水があった頃の沓沢湖  / 引用:Wikipedia

 

そもそも沓沢湖は釣りが許可されていたわけではない。実はバス釣りブーム到来の全盛期も釣りは禁止されていた。

その証拠は沓沢湖にかけられた橋の横に設置されている看板。

そこには「釣り禁止」と思いっきり書かれていたんだよね。

塩尻市は当時それに対応しきれなかったんだろうね。まあ、ちょいとばかり黙認してた部分もあったかもしれない。

やがて沓沢湖は全面釣り禁止となり、水が完全に抜かれるわけだが、その原因はけっしてアングラーのマナー違反ではない。だって、そもそも釣りしちゃダメだったんだから。

では沓沢湖の水が抜かれた理由は何なのか?

それは耐震性の問題をクリアできなかったから。

大地震によって崩壊する可能性があっては放置できない。そこで塩尻市は近隣住民の安全を確保すべく湖の水を抜き、役目を終わらせたというわけだ。

詳しくは塩尻市が掲載している以下のPDFをチェックしてほしい。

「塩尻市水道事業経営戦略」

 

上の資料には<<芦ノ田浄水場は、水源である沓沢湖の耐震性の問題から、平成25年8月25. 日から休止しています。 >>と確かに記述されている。

 

バス釣りを抑止するための水抜きではなかったけど…

巷のウワサではバス釣りを抑止するための水抜きだと噂された沓沢湖。

しかし、実際はそうでなかった。

とはいえ、当時のアングラーは非常にマナーが悪く、周辺はゴミだらけ。夜な夜な騒ぎながら釣りをする者もいた。

 

全国的に「バスアングラー=マナーが悪い」と言われているが、それは当時のバスブームがトリガーになっている可能性もある。マナーの悪いアングラーもしくはマナーすらわからない自己中人間が量産されただろうからね・・・。

 

私なんぞはできるかぎりバスフィールドのゴミを持ち帰るよう努めている。が、翌日に訪れるとむしろゴミが増えていて言葉を失う。

過去も今もやりたい放題の自己満アングラーが多いのである。

 

現在は埋め立て工事中

沓沢湖の石碑

どこか悲しげな沓沢湖の石碑

 

2018年10月初旬、沓沢湖を久しぶりに見たくなり車を走らせた。

が・・・到着すると、かつての姿はどこにもなく草木が生い茂っていた。

まあ、物事を良い方向に捉えるなら、本来の姿(自然)に戻っているんだなと・・・。切なさを感じながら橋方面へと向かっていくと、至るところに駐車されたトラックが見られた。

『ん?なんか工事か??』

橋に到着すると、目の前に現れたのは工事中の看板やゲート、そして警備員だった。

そう、絶賛工事中だったわけよ。

すぐさま警備員さんに現状について質問したところ、「現在、沓沢湖は埋め立て工事中です。もう完全に埋めてしまいますよ」との返答が…。

 

おいおい、マジかよ…キレイになくなっちまうのか?

 

ちょっと現実を受け止めるまでに時間がかかった。

落ち着きを取り戻すと、無性に堤防へいきたくなったので向かってみる。

そこで撮影したのが次の写真。

現在の沓沢湖

現在の沓沢湖

 

「そういやあの角で20cmくらいのバス釣ったな」
「あのワンドでバカでかい鯉を見たっけ」

いろんなことを思い出しながら、現在の沓沢湖を眺めていた。

しかし、かつて水があった場所はすでにトラックと重機が行き来できるよう整地され、着実に埋め立てがはじまっている(2018年10月時点)。

埋め立て工事中の沓沢湖

中心にはパイプのようなものが設置されている

 

いやさ、全盛期のいい思い出ばかりが蘇ってきて泣けてくるんだよ。

堤防付近で思い出にふけっていると、塩尻市の役員の方がこちらにやってきたので、あらためて今後の沓沢湖がどうなるのか聞いてみた。

 

『しばらくは資材置き場としても活用しますが、最終的には完全に埋め立てる計画ですね、はい。』

 

ショギョウムジョウ。

形あるものはいつか滅びる。

現実を受け止めるしかねーな。

 

現在の沓沢湖を撮影した動画

 

動画の撮影日は2019/11上旬。

ブルーな気持ちは変わらないが、それでも沓沢湖には感謝しなければならない。

湖としての役目を果たし、多くの釣り人に喜びを与えてくれたわけだから。

 

ありがとう、沓沢湖。
本当にありがとう。

 

沓沢湖でバス釣りをしていた方もぜひ感謝の念を!

 

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