長野県の郷土料理「天ぷらまんじゅう」について詳しく教えてください。発祥や歴史、作り方など色々と把握したいので、わかりやすくまとめてほしいです。
当記事は、天ぷらまんじゅうについて深掘りしたい方が対象。
天ぷらまんじゅうは、長野県の中部・南部地方におけるお盆の定番料理。もはや県全域で食される郷土料理ともいえるが、意外にもその存在について深く考えたことのある方は少ないはず。
しかし、その歴史や意義を紐解いていくと実に面白く興味深い。
天ぷらまんじゅうと言えば、中南信の一部地域でお馴染みの郷土料理。
てっきり長野県のそれと思いきや、福島県の会津地方や岐阜県の飛騨地方、島根県の大田市でも食べられるらしい。
なお、天ぷらまんじゅうの発祥は長野県高遠町で、江戸時代に藩主の保科正之によって広められたと言われている。 pic.twitter.com/OYwaBYfPHJ
— ショギョウムジョウ | 信州の飲兵衛ブロガー/ライター (@shogyomujo_n) July 6, 2023
当記事は、天ぷらまんじゅうのあれこれについてまとめた。
長野県の天ぷらまんじゅうについて理解を深めたい方は、ぜひ参考にしていただきたい。
当記事でわかること
- 天ぷらまんじゅうの発祥と歴史
- 天ぷらまんじゅうの作り方と食べ方
- その他関連情報
天ぷらまんじゅうとは
天ぷらまんじゅうは、長野県を代表する郷土料理のひとつ。その名のとおり、まんじゅうに天ぷら粉をつけて揚げた料理のことをいう。
長野県では主に中部と南部の以下の地域で食べられている。
中部地方
- 木曽
- 松本
- 安曇野
- 大町
南部地方
- 上伊那
- 下伊那
- 諏訪
とはいえ、昨今では一部メディアが<信州のほぼ全域で作られている>として紹介している。したがって、現状では県全域で食べられる郷土料理といっていいかもしれない。
また、天ぷらまんじゅうは以下の地域でも食べられており、独自の食文化を形成しているようだ。
- 岐阜県(飛騨地方)
- 島根県(大田市)
- 福島県(会津若松市)
- 滋賀県(甲賀市水口町)
天ぷらまんじゅうの発祥と歴史
天ぷらまんじゅうの発祥は諸説あるが、長野県高遠町が有力(もっとも歴史が古い)だといわれている。
その存在を広めたのは、高遠藩の保科正之。
彼は高遠そばを広めた人物としても知られているが、実は会津に天ぷらまんじゅうを定着させたのも彼である。
天ぷらまんじゅうが誕生したキッカケは、お供えものとして時間がたったまんじゅうを、あらためて美味しく食べるために揚げたことが影響しているとのこと。
明確な誕生エピソードは不明だが、昔の人の知恵をベースに考えると上記が有力かもしれない。
天ぷらまんじゅうをお盆にお供えする理由
天ぷらまんじゅうをお盆にお供え・作る理由は諸説あるものの、有力なのは以下の2つだ。
- ①:帰ってきた先祖にごちそうでもてなすため
- ②:帰ってきた先祖にめずらしいものをお供えするため
上記2つの目的はほぼ同様と判断できる。
では、天ぷらまんじゅうを「ごちそう」「めずらしいもの」とする基準は何なのか。
それはかつての長野県民にとって「油」が非常に貴重なものだったため。
松本市立博物館元館長・窪田雅之さんによると、昔は油で揚げた料理はごちそうだったとのこと。したがって、貴重な油で揚げたまんじゅうをごちそうとして先祖にもてなしていたそうだ【1】。
また、天ぷらまんじゅうはお盆にだけ作られる「めずらしいもの」。つまりは仏様のために作られる料理といえるだろう。
天ぷらまんじゅうの作り方
ここでは長野県における一般的な天ぷらまんじゅうの作り方を紹介する【2】。
材料(5個分)
- 小麦粉・・・50g
- 水・・・150ml
- 揚げ油・・・適宜
作り方
- 小麦粉と水をダマにならないようによく混ぜる
- 揚げ油を170°Cに予熱
- まんじゅうに1の衣をつけて揚げる。
- 衣がカラッとなったら油からあげる
- 完成
天ぷらまんじゅうは、各家庭や店舗によって作り方が微妙に違ったりする。
作り方の引き出しを増やしたい場合は、インターネットでリサーチしてみてほしい。
出典:
天ぷらまんじゅう【2】
揚げまんじゅうと天ぷらまんじゅうの違い
揚げまんじゅうと天ぷらまんじゅうの違いに首を傾げている方は少なくないだろう。
しかし、両者の違いは実にシンプルだ。
調べてみました^ ^
揚げまんじゅう
☞衣をつけずにお饅頭を揚げる天ぷらまんじゅう
☞衣をつけてお饅頭を天ぷらにする— ショギョウムジョウ | 信州の飲兵衛ブロガー/ライター (@shogyomujo_n) July 6, 2023
特徴 | |
揚げまんじゅう | 衣をつけずに揚げる |
天ぷらまんじゅう | 衣をつけて天ぷらにする |
このように両者は衣の有無で判断できる。
なお、以下は揚げまんじゅう。
なかには判断がしにくいものもあるが、衣の有無をチェックすることで違いを区別できる。写真だけで判断ができないものは、材料などの情報を確認するといいだろう。
天ぷらまんじゅうの食べ方
天ぷらまんじゅうの食べ方は、ハッキリいって自由。
ご家庭によってさまざまな食べ方があるはずだ。
一般的な食べ方は以下のとおり。
- そのまま食べる
- しょうゆをつけて食べる
- めんつゆをつけて食べる
なお、伊那地方ではシソを巻いて食べるケースもある(しそ巻き)。
食べ方に不正解はないので、あなたが美味しいと感じる方法を実践すればOKだ。
天ぷらまんじゅうを購入できる地域店舗はどこ?
天ぷらまんじゅうは基本的に、家庭で作られることが多い郷土料理。しかし、商品として販売している店舗が地域にいくつか存在する。
以下は購入できる店舗なので、美味しい天ぷらまんじゅうを食べたい方はぜひ参考にしてほしい。
店舗 | 特徴 |
藤山 | 飯田市下伊那で仕出し弁当配達やオードブル宅配をしている店舗。天ぷらまんじゅうは1個110円(※10個から予約可)。 |
菓子処「船橋屋」 | 飯田市に3店舗をかまえる和菓子の名店。他商品に引けを取らない天ぷらまんじゅうを販売する(※要問い合わせ)。 |
ちなみに会津の丸亀製麺では、天ぷらメニューに天ぷらまんじゅうがラインナップされているらしい。ここ長野県で同じ試みをしたらはたしてどうなるか・・・。
まとめ
長野県の郷土料理「天ぷらまんじゅう」についてあれこれ解説した。
発祥や歴史については不透明な部分が多いものの、風習が今日まで続いているのはその存在意義が大きいことの現れではないかと。
当時の人がどんな思いで天ぷらまんじゅうを作っていたのか。そう思い浮かべながら食べると、いつもとは違った天ぷらまんじゅうの味になるかもしれない。
まんじゅうが好きで好きでたまらない人向け
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