長野県南信の習慣「すり初め(1月2日に長芋をする)」を紐解く




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長野県南信の習慣「すり初め(1月2日に長芋をする)」を紐解く

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長野県には数多くの伝統・風習・習慣が存在するが、県全体から認知されているケースはさほど多くない気がする。

やはり生活拠点だからこそわかることって多いし、拠点から出てみてはじめてわかることも多い。

今回注目したい長野県の習慣は、南信エリアに多く見られる習慣「すり初め」

中信の人間である私からすると初耳の習慣であり内容も知らないが、リサーチしている中で発見⇒非常に興味深い習慣だったので備忘録がてら記事にまとめてみる。

「すり初め」ってなんぞ?

長芋

すり初めは長芋をする習慣のこと

 

「すり初め(すりぞめ)」とは1月2日に長芋をすって神様にお供えすることで、悪いものは滑って去っていき、良いものがスルっと滑り込んでくるという、主に長野県南信エリアに伝わる習慣のひとつ。

この習慣が生まれた背景は定かでないものの、「1年間の平安を願い、縁起をかつぐものを食べる」という昔の人が行っていた習慣が伝承されたものと見られる。

また、、神様へお供えするという形式以外にも次のような諸説がある。

1)1月2日にとろろ飯を食べる風習
2)1月3日にとろろ飯もしくはとろろ汁を食べる風習(「3日とろろ」と呼ばれる)

 

いずれにしても、正月の「こと始め」にあたる1月2日をメインに、長芋をすってお供え・食べることで幸福を呼び込む行為のことだ。

そもそも「とろろ芋」は長く伸びることから縁起が良いと言われており、長生きを願うという意味もあるらしい。

私は中信の人間なので「すり初め」についてはまったく知らなかった。が、ここ中信においても南信出身の方ならこの風習をごく普通に行っているかもしれないと思うと、「もっと長野県について勉強しないと」と反省。

そして、以降は1月2日にすり初めを自主的に行おうと決意した(それだけこの風習に感動した)。

以降は前述した内容の掘り下げになるので、ご興味がある方のみ読み進めてほしい。

 

1月2日にとろろ飯を食べる習慣

とろろ

蕎麦との相性も抜群な「とろろ」

 

すり初めについて調べてみたところ、どうやら<1月2日にとろろ飯を食べる>という形式がもっとも広く伝わっている模様。

もはや説明不要かと思うが、とろろ飯は長芋をすったとろろを白飯にかけたもの。

 

すり初めとして「長芋(とろろ芋)」をすってご飯を食べることで、幸福を家の中にすり込むという願い(目的)がある。

 

長芋もすり初め、白飯も炊きはじめという「こと始め」を2点クリアできることもポイント。これによってスッキリした気分になれるという意味合いもありそう。

私の場合、正月は自宅はもちろん親戚宅にも移動して飲食を繰り返すため、濃い味付けの料理と各種アルコールのオンパレードになる。よって、1月2日にヘルシーかつサッパリする「とろろ飯」を食べれば、いろんな意味でリセットできそうなので価値ある習慣になるかもしれない。

 

1月3日にとろろ飯もくはとろろ汁を食べる習慣

とろろ飯

スルスルっと食べられる「とろろ飯」

「すり初め」の形式は地域性によって内容が異なるようだが、一部エリアでは1月3日に<とろろご飯もしくはとろろ汁を食べる>形式があり、「3日とろろ」と呼ばれている。

3日とろろの目的は健康への祈願が込められている一方で、年末から正月にかける飲食において疲れた胃腸を休めるために食べるという意味もあるようだ。

なお、3日とろろを食べることで1年間風邪をひかないという言い伝えがあるとのこと。

うん、確かに3日とろろは理にかなっているなあ。

正月は暴飲暴食しやすいし、自炊を遠ざけてしまう傾向にあるので、3日とろろを実行することで幸せになれるかも。

 

地域によって異なる「すり初め」

長芋をする

とろろの楽しみ方は人それぞれ

 

最後に地域によって異なる「すり初め」の形式をまとめてみる。

諏訪・下伊那…1月2日もしくは3日に長芋をすって芋汁を作る

木曽エリア…1月2日にすり初めとしてとろろ汁を食べる

南信地方の各村…主に1月2日、とろろもしくはとろろ汁を食べる

 

なお、松本市においても「4日とろろ」と言われる風習があるようで、1月4日にとろろ飯もしくはとろろ汁を食べるとのこと。

すり初めはあくまで長野県南信に広がる風習だけど、中信エリアの一部にも伝わっているみたい。

いやあ、ホント知らないことだらけだ。

日々勉強。

 

参考資料「レファレンス共同データベース」「五十鈴神社『宮司の社務日誌』」

 

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