現在は全国各地で移住(田舎暮らし)ブームが巻き起こっているが、なかでも長野県は移住先として大人気。「2022年ふるさと回帰支援センター窓口相談者が選んだ移住希望地」では、第2位に選ばれている。
全国移住希望地ランキング 長野県は2位 前年から順位上げる
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— 信濃毎日新聞デジタル (@shinmaiweb) February 24, 2023
更にここ数年では地域おこし協力隊の活躍が目立ち、長野県の各地に点在する空き家や古民家を再生する働きが活発だ。
これらの影響もあってか、現在の長野県は全国の移住希望者から熱い眼差しを向けられている。
しかし移住はかんたんなことではない。
移住を果たしても長野県にフィットせず、帰ってしまう人もいる。
当記事は長野県への移住を検討している都会人の方が対象。
長野県中信生まれで大学卒業から30歳までを東京で暮らしたUターン組の私が、信州移住で後悔・失敗しないためのコツをまとめてみようと思う。
とくに都会人の方は参考していただければ幸い。
憧れだけじゃダメ!長野県移住から”出戻り組”になった人々に見られる3つの共通点
長野県は海こそないものの、豊かな自然に恵まれた地。
都会人が憧れるであろう「田舎暮らし」に最適なエリアはあちこちにあるし、アウトドアを好む方にとっても注目すべきレジャー施設が充実している。
都会の雑踏から抜け出したい方には理想の地と言えるのだが、それを夢見て移住してきた方の一部は残念ながら出戻り組になってしまう。
彼らが移住に失敗した要因はさまざまだが、主な要因として考えられるのは次のとおり。
- ①:事前のリサーチ不足
- ②:地域でのコミュニケーション不足
- ③:経済的な計画の不備
無論これは私の主観による割合も大きい。
しかし、上記の理由で出戻り組になった人は何人か見ている。
それでは詳しく解説していく。
①:事前のリサーチ不足
長野県移住に失敗した人に多く見られる共通点は「事前のリサーチ不足」。
移住先の地域情報や生活環境、職業選択肢などを十分に調べず、現地での生活や仕事における理想のみを膨らませて「ぶっつけ本番」にも似た行動を取ってしまうパターンだ。
言うまでもなく理想と現実は違う。
十分すぎるくらいの事前リサーチがなければ、適応は難しくなるのだ。
コロナ禍でリモートワークが進んだから地方移住して広い家に安く住めていいねと言う人がいるけど、夫婦共働きで子育て家庭ではそんな簡単な話じゃないということがあまり知られてないとかもしれないので、書き残しておこうと思う(続く)
— ちょきちょき@1y (@chokichokiin) January 8, 2023
夢と希望を抱くことは人生にとって大切なこと。
しかし事前準備を怠ると、予期しない問題や困難に直面したときに対応できない。
いわば移住を成功させるコツは、リスクマネジメントの徹底と言っても過言ではないのだ。
②:地域でのコミュニケーション不足
都会人の長野県移住希望者のなかには、人との関係を断ってのんびり暮らしたいという方がいる。
誰とて人間関係を気にせず生きたいものだが、長野県のド田舎へ移住したからと言ってコミュニケーションを取らなくていいわけではない。
地域の人々や他の移住者とのコミュニケーションが十分でない場合、それこそ人間関係のトラブルが発生しやすくなる。
地域おこし協力隊の方が、限界集落での一部住人とのトラブルを経て「移住失敗」した話は、東京を離れて地方を数年見てきた身としては共感できる部分が多い。少なくとも田舎は楽園ではないし、そこにあるコミュニティーは強固に価値観が構成されていて異物を排除する。いきなり完全移住はリスクがある。
— 勝浦雅彦 初著書「つながるための言葉」トークLIVEツアー開催 (@katsufootball) January 26, 2023
あれだけストレスから解放されたいと願って移住したにもかかわらず、気が付けば恐ろしいまでの孤立感と発散しきれないストレスが蓄積した状態になっているのだ。
包み隠さず言うが、田舎ほど地域コミュニティが強い。したがって新参者が不愛想にしようものなら、理想とする田舎暮らしは遠のくばかりである。
だからこそ地域でのコミュニケーションは重要。
不十分だと生活の質が低下し、移住が失敗に終わってしまう。
③:経済的な計画の不備
移住する前に十分な資金計画を立てないと、何らかのアクシデントが起こった時にどうしようもできなくなる。
たとえば現地での生活費が想像以上に多かったり、仕事による収入が見込みよりも少なかった場合は、間違いなく経済的な困難に陥るだろう。
そこで重要になるのは「貯金」なのだが、これも不足した状態では移住生活を維持できない。
ポツンと一軒家を見て「ああいうのでいい!」とか言いながら移住して失敗する話をまぁまぁ聞く。金か暇と労力かのどちらかが潤沢にないと厳しいし、特に高齢になってからやるのは無謀だと思う。
— ⛩️ の─みん ⛩️ (@nouminT) April 13, 2023
実にシンプルなことだが、移住ではこういった失敗が多く報告されている。
長野県への移住を成功させたいなら、とにもかくにも事前のリサーチと計画が必須。そして経済的な問題が発生した場合の対策も十分に検討してほしい。
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長野県へ移住するメリットとデメリット
では、長野県へ移住するメリットはどういったものがあるか。
主なメリットは次のとおり。
- 自然環境・・・長野県の豊かな自然を堪能できる
- 新鮮な食材・・・新鮮な野菜や果物とお米や蕎麦をあじわえる
- 四季折々の観光地・・・温泉やスキー場、歴史的な観光地が充実
- 物価が低い・・・長野県の物価は都会と比べると低い傾向にある
- 交通アクセス・・・エリアによっては首都圏へのアクセスが容易
一方でデメリットは次のとおり。
- 都会の利便性と多様性がない・・・ 都会ならではのエンターテインメント、ショッピング、インフラが不足している
- 職業選択肢が限定される・・・長野県は都会に比べ職業の選択肢が少ない
- 冬季の寒さと積雪・・・長野県は冬季の寒さが厳しく、積雪が多い
- 地域差がわりと多い・・・地域によってはインフラが十分でないところがある
- 移動手段はほぼ自動車・・・県内の移動は基本的に自動車がメイン
長野県への移住にかぎらず、どこに移住するにもデメリットの把握は重要。
この辺に関しては、長野県人の私が東京からUターンした理由を拝読いただければと。
私が東京から長野県へUターンした理由
私が東京から地元の長野県へUターンをした理由は次のとおり。
- ①:都会の過剰なサービスとそれに甘えている自身が嫌になった
- ②:雑踏にストレスが溜まった
- ③:ネット環境さえあればどこでも仕事ができるから
- ④:長野県へ帰るべきと思える出来事がいくつか起きた
- ⑤:30歳がキリのいい年齢だと思ったから
結論から言うと私のUターンは大成功だった。
現在も快適に暮らせているし、さまざまなストレスから解放されたし。
もっと言えば、家族を持つことができたのでこれ以上の幸せはないなと。
それでもUターンする前の私は相当揺らいでいた。
上記の理由はあるものの、東京での生活にも満足していた部分があったので。
なので・・・もし目の前のあなたが長野県への移住をまだ検討しているのなら、長野県民として次の覚悟を決めてもらいたい。
長野県への移住を失敗しないために覚悟してほしいこと2つ
長野県は暮らしやすい理想の県とも呼ばれているようだが、風土を知らずに移住することはあまりにも無謀。きつい言い方をするなら、憧れだけでは確実に失敗・後悔する。
もし以下のポイントをクリアできないのであれば、移住は検討し直した方がいい。
- ①:長野県民もストレスを抱く「厳しい冬」
- ②:生活の足として自動車は必須
長野県に移住するなら上記2つは覚悟しないとダメ。
物件選びをする前にかならず確認を。
①:長野県民もストレスを抱く「厳しい冬」
長野県の冬はガチで厳しい。
都会暮らしに慣れた方からすると、秒で白旗をあげる可能性がある。
冗談じゃなくてホントに。
私は10年ほど東京に暮らしていたが、Uターン後初めての冬はかなり苦労した。長野県人がもつ寒さ耐性などとっくに無くなっていたのである。
「いやいや・・・話盛ってません?」
「北海道ならまだしも・・・」
うんうん。そうよね。確かにそうだ。
だったら公式データでわかってもらうほかない。
気象庁が発表する長野県松本市の平年値は、1月の平均気温は-0.3℃、最低気温は-4.9℃。2月の平均気温は0.6℃、最低気温は-4.5℃である。
そう、最低気温がプラスになる日が滅多にないのだ。
ぶっちゃけ都会の冬とは比べ物にならない。
山沿いの住宅ともなると水道管が寒さで破裂するし、積雪で外出が困難になることもある。おまけに雪かきは想像以上の重労働だし、公道以外の道は除雪車がやってこない(地域によっては来るところもある)。
つまり自宅から公道までの雪かきは、自身で処理しなければならない。
勘の良い人ならこの時点で気づいたと思うが、山奥の古民家に暮らすとなれば鬼ハードモードどころの話ではない。一般的な住宅は断熱・耐久性が一定基準を満たしているが、古民家はいずれも乏しく積雪しやすい。
問題はまだある。
長野県は都会と違って電車やバスが頻繁に動いていない。さらには雪の影響をそれなりに受ける(東京ほど貧弱ではない)。したがって公共交通機関が止まった場合は、別の通勤手段を検討しなければならない。
なお、積雪時の車道はどこも渋滞する。
つまりは自動車通勤の場合は、強制的に早起きしなければならない。
そういえば以前、長野県へ移住を検討する大阪府在住のご夫婦が、冬の信州に一定期間お試しで暮らす様子がテレビで特集されていた。しかし結果はあまりの寒さに驚愕し、移住を断念されていたな・・・。
②:生活の足として自動車は必須
長野県内にはインフラが整っていないエリアがいくつかある。
田舎になると電車もバスも数時間に1本がザラ。
それどころか走っていない地域もある。
すなわち田舎暮らしを実現したいなら自動車の所有は必須。
エリアによってはコンビニすら存在しなかったり、市街地までの移動距離がとんでもなく長いなんてケースもある。つまり、都会のように徒歩で買い物ができる気軽さがないのだ。
無論、エリアによっては自動車を持たずに生活することも可能。長野市や松本市などの県内で言うところの都会なら、交通機関も商業施設も充実しているので自動車は不要かもしれない。
しかし、田舎と呼ばれる地域に移住したいのであれば自動車は必須。ないと通勤・通学はもちろん、買い物や通院ができなくなる。
だからこそ長野県への移住を検討する場合は、住居の立地を十分にインプットしたうえで決断してほしい。
なお、現代は自動車は購入する時代から借りる時代へとシフトしている。月額6,600円から車検も税金も込みで最新車両をリースできるので、経済状況に合わせて最適な選択をしてほしい。
長野県への移住に失敗・後悔しないための3か条
長野県へ移住する覚悟ができたならいよいよ本題。
次の3か条を丁寧に実行してほしい。
- ①:どの地域に移住したいかを具体的にする
- ②:物件探しをおこなう
- ③:移住お試し住宅を利用して実際に暮らしてみる
これらのステップを着実に踏めば、移住に対して後悔する確率も失敗する確率も低くできる。
それでは3か条について解説していく。
①:どの地域に移住したいかを具体的にする
まずは県内のどの地域に暮らしたいのかを具体的にしてほしい。
Googleマップで移住したいエリアの街並みを確認しながら、インフラの程度を把握しよう。これでおおよその生活イメージはつかめると思う。
Googleマップ
ただしこのステップはあくまでシミュレーション。
現実を知るには体験がベストである。
たとえば現地にいますぐワープしても道がわかるよう、マップをインプットしておくことをおすすめする。
②:物件探しをおこなう
移住したい地域が決まったら、物件探しをおこなう。
正直なところ古民家や一軒家にいきなり暮らすのはハードルが高いので、長野県に慣れるまでは賃貸物件に暮らすことをおすすめする。
特徴 | コメント | |
レオパレス21 |
| 言わずとしれた大手なのでどこの地域にも物件がある。初期費用が低い上に家具家電やWi-Fiも搭載されているので、理想の住宅に住むまでは最有力候補かと。 |
ビレッジハウス |
| 初期費用が低いうえに引っ越しサポートを受けられるので入居までスムーズ。所得制限なども設けられていないのも魅力。 |
とはいえ、賃貸物件では移住した意味がないと思う方がほとんどだろう。
覚悟を決めて古民家や一軒家に住みたい場合は、各市町村が運営する「楽園信州空き家バンク」や「ココスマ!」の利用をおすすめしたい。
これらのサイトを活用すれば、県内の空き家をスムーズに検索できる。
楽園信州空き家バンク
楽園信州空き家バンクは、長野県が運営する県全域の空き家情報を取り扱うポータルサイト。
長野県の空き家・古民家物件をサクッと把握できる上に申し込みもできる。さらには物件の相場も把握できる存在なので、重宝すること間違いなしかと。
空き家情報がエリア毎に分けられている点が◎
ココスマ!
ココスマ!は長野県の物件情報を豊富に扱うポータルサイト。
空き家をはじめ、賃貸物件、事務所、工場、貸地などの物件も取り扱う。住居だけでなく幅広い目的で利用できるので、さまざまな物件を把握したい方におすすめ。
なお、サイトは地域別で分けられている。
希望する地域のココスマへアクセスしよう。
③:移住お試し住宅を利用して実際に暮らしてみる
物件の目途がついたら契約するのも悪くはない。
しかし、長野県への移住に失敗・後悔したくないのであれば、物件の契約はいったん置いといて移住希望地の「移住お試し住宅」に暮らしてみてほしい。
県内すべての地域にお試し住宅が設けられているわけではないが、移住支援に力をそそぐ市町村はほぼ用意されている。
情報はあくまで情報でしかない。
百聞は一見に如かずという諺があるように、何事も現地で体感したほうが100%わかる。
住んでみてわかることって良い意味でも悪い意味でもあるのよね。
移住お試し住宅は移住を検討する人に対して、対象となる物件を一定期間のみ貸し出してくれる。利用条件は「移住を真剣に検討されている方」なので、合致すれば誰でも利用可能だ。
ちなみに塩尻市の移住お試し住宅はこんな感じ(※2019年5月現在)。
塩尻市の移住お試し住宅
賃貸料:12,000円/週、36,000円/月 光熱水費込み
賃貸期間:1週間単位、最長2か月まで
入居対象者:塩尻市外に在住しており、塩尻への移住を検討されている方引用:塩尻市振興公社(※リンク切れ)
移住お試し住宅は数週間ほど利用可。
それだけの滞在期間があれば、風土はもちろん生活環境なども把握できる。さらに仕事を探す余裕もあるので、移住を成功させたい方は積極的に活用してほしい。
まとめ
長野県への移住を検討している方(とくに都会人の方)は、とにもかくにも失敗と公開をしないための努力を積み重ねてほしい。
私のフォロワーさんのなかには移住者の方がたくさんいる。成功者から話を聞くことは有益なので、SNSをやっている方は移住者とコンタクトを取ってみるのもいいだろう。
当ブログは長野県への移住を希望する方全員の成功を心から祈っている。
移住のヒントが得られる書籍
引用:
長野県松本市の平年値/気象庁【1】
「気温と雨量の統計」【2】
塩尻市振興公社【3】
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