かつての小坂田池はどこへ・・・。
現在の小坂田池は大減水(というより水抜き)してほぼ空っぽの状態。これは2019年末からスタートした耐震補強工事が原因だ。
2019年度は小坂田池へあまり釣りに行けず、現地の情報も入手できずにいた。
そんな中、悲報を知る。
なんと耐震工事による過剰な水抜きによって、多くの魚が死に、釣り場として機能しなくなったのである。
もう小坂田池での釣りはできないのだろうか…。
事の真相を確かめるべく、現地調査と塩尻市役所へ問い合わせをしてみた。
目次
釣り場として機能していない現在の小坂田池
本当に現在の小坂田池は悲惨だ。
水がほぼない上に魚がほとんどおらず、釣り場として機能していないのである。
その様子は市民タイムスでも報じられている。
もはや抉れた地の一部に浅い水たまりができているだけ。
耐震工事によって大幅な水抜きが行われた直後の2019年9月、現地の状況を調査したのだが、目視できた魚影はそこそこサイズの鯉一匹のみ…。本来であれば容易く確認できるはずのブラックバス・ブルーギルが、一匹たりとも確認できないという異常事態。
SNSやブログなどから「小坂田池はもう終わった」「釣り禁止は近い」と言った情報は聞いていたけど、まさかここまで酷いとは思ってもみなかった。
ハッキリ言ってこんな状態では、釣りどころか小坂田池自体が完全に終了じゃんか。
私は目の前に広がる紛れもない現実に打ちのめされ、その場に立ち尽くす他なかった。
2019/11撮影の小坂田池(YouTube)
上の動画は2019年11月に撮影した小坂田池。
ほぼ2020年現在の状況と変わらない姿なので、気になる方はチェックしてほしい。
塩尻市役所に問い合わせてみた
「もう小坂田池で釣りができなくなるかもしれない・・・」
現地調査から帰宅した私は最悪の事態を想像しながらも、小坂田池の現状と今後を明らかにすべく塩尻市役所に電話した。まもなくして女性の職員が丁寧かつ個人的な思いもはさみながら応対してくれた。
まず私が質問したのは「小坂田池に生息する魚の数」について。
職員さんによると、2019年の花火大会後に水利組合が水抜きを行った。しかし、水を抜きすぎてしまい、多くの魚が死んでしまったとのこと。巷では「小坂田池の魚が全滅した」との声もあるが、けっして全滅ではないのだという。
とは言え、職員さん本人が水抜きに立ち会って当時の現場を確認したわけではないとのこと。
そうなると、あくまで実態を知るのは水利組合と言っていい。
前述したように私の目視による確認では、ほぼ全滅とも言える有様だった。もしかしたらシャローに隠れていた可能性もあるが、それにしても目に見えた魚が鯉一匹のみというのは…ね?
いずれにしても水抜きによって多くの魚が死んだことは事実である。
小坂田池に生息するブラックバスは少ない?!
ちょっとだけ余談。
応対してくれた職員さんによると、小坂田池に生息している魚の大半は鯉とヘラブナであり、ブラックバスは少ないのだという。
これは職員さんが2018年冬の水抜きの際、現地確認して感じたことらしい。
私のイメージではかなり多くのブラックバスが生息している印象だったが、実際は少なったのかもしれない。少なくとも爆釣を経験した2017年は多くのブラックバスがいたように思うし、2018年も活性こそ低くなったもののそれなりに数はいたと記憶している。
しかし、たびたびの減水や藻の異常発生もあったし、これらが原因で多くのブラックバスが死滅した可能性も考えられるね。
これはあくまで個人的見解でしかないけど、小坂田池の釣果が年々悪化している原因は、単純に個体数の減少かもしれない。
「釣り禁止」という懸念
次に質問したのは「小坂田池の釣り禁止」について。
「このような小坂田池の状態から察するに、もう釣り禁止を意味しているのでは?」とストレートな質問をしたところ、職員さんは次のように答えてくれた。
「現状はあくまで2020年から着手する耐震補強工事のための水抜きであって、現時点では釣り禁止とは無関係。」
ちょっとだけホッとしたが、職員さんは以前から問題になっていた小坂田池におけるマナーの悪さが釣り禁止に直結する可能性があることを付け加えた。
話によると水抜きや清掃をする際、とんでもない量のゴミ・釣りに関するゴミ(針・糸・ルアー等)が見つかり、もはやそれらを完全に取り除くことはできないのだという。
これは池周辺だけでなく池の中(水中)においても、である。
まあ、池の上を通っている電線にも大量の糸・ルアーが絡まっているし、管理者や塩尻市からすれば深刻な問題だよね・・・。
それに釣り人のマナーの悪さも異常なんだよね。
職員さんは続けてこう話した。
小坂田池で釣りが許されているのは桟橋のみ。その他エリアで釣りをしたい気持ちはよくわかるが、フェンスを乗り越えて釣りをするなどルールを無視した釣り人が目立つ。これらが原因で釣り禁止が現実味を帯びているかもしれない。
つまり塩尻市からすると、小坂田池を釣り場として管理することに限界を感じている…ということだ。
魚も大幅に減り、釣り禁止の可能性もある現状。
本当に残念でならないが、もう改善の余地はないのかもしれない。
耐震補強工事中の池の水量と魚はどうなるのか?
もはや空っぽ状態の小坂田池だが、耐震補強工事が完了するのは2021年9月と言われている。【1】
それまでの間、はたして池の水はどの程度まで保たれるのか?そして魚たちはどうなるのか?
最後に「工事中の水量と魚はどうなるのか?」という質問をした。
職員さんによると、工事が着手されると池の水をすべて抜く可能性があるとのこと。生存している魚は一時的に移動する見込み(移動場所は不明)。ただし、移動が許される魚はあくまで鯉とヘラブナのみ。外来魚のブラックバスは駆除を推進されているのでどう対応するか検討中らしい。
鯉も同じく外来魚であるが、ブラックバスほど生態系を乱す存在ではない。また、日本人に馴染みのある魚ということもあって移動対象なのだろう。
こりゃあ小坂田池でのバス釣りは終わったかな・・・。
やはりバス釣り継続は厳しそう…
今も行方がわからない(生きているかもわからない)小坂田池のブラックバス。
耐震補強工事によって完全に駆除される可能性もあるし、そもそもとして水抜きの際に水利組合が・・・いや、なんでもない。
小坂田池が抱えている問題はけっしてブラックバスそのものじゃないんだよなあ。バスを釣る一部の非常識な人間こそがガンなのに、ちょいと現状は不満だらけだ。
無論、私もバサーなので責任を突きつけられる立場にある。
バス釣りが継続できるかどうかは塩尻市や水利組合、近隣住民が決定すること。私たちバサーはその判決がいかなるものであろうとも受け止めなくてはならない。
【総括】かつての沓沢湖のようになってしまうのか
かつて長野県中信エリアにおけるバス釣りのメッカだった「沓沢湖」。
小坂田池はまさにそれと同じ道をたどっていないだろうか。
沓沢湖が終了した経緯についてはこちらの記事をチェックしてもらうとして、小坂田池もまた工事によって状況が大きく変わり、釣りそのものができなくなる可能性もある。
もうね、言葉が出ない。
ただただ切ない・・・
いずれにしても小坂田池での釣りは工事が終わるまでは不可能(というよりも魚がいない)。間違っても強引にフェンスを乗り越えて竿を振ってはいけない。
今回、ご丁寧に小坂田池の現状と今後について回答くださった女性職員さんに感謝。
また、本記事に記載されている内容はすべて断言できるものではない。あくまで現時点での情報であり、私および職員さんの個人的な見解も混じっている。よって自ら真相を確かめたい方は、塩尻市市役所に問合わせてほしい。
小坂田池の未来が少しでも輝かしいものになればそれで良い。
出典:市民タイムス2020/3/7号【1】