あれはちょうどサッカー日本代表が初のワールドカップ出場を決めた「フランス大会」の時期。当時中学生だった私はサッカー(部活)に明け暮れると共に、家ではゲームに没頭していた。そして、2018年までやり続けたひとつのゲームと出会う。
そう、「ウイニングイレブン」だ。
マスターリーグを搭載したタイトルから人気が爆発。ここ日本におけるサッカーゲームでは敵なしだった。しかし、いまやライバルの「FIFA」に追い抜かれたといっても過言ではない。
少なくとも私は2018年まで完全にウイイレ派として同シリーズを愛してきたつもり(オフラインのみのプレイではあるものの自分なりに)。
しかし私は2019年にウイイレを卒業した。
この記事では私がFIFAに乗り換えた理由についてあれじれと書いていこうと思う。
目次
いつしかFIFAに追い抜かれたウイイレ
ある時期からネット上においてこんな意見が飛び交うようになった。
「ライセンスにおいてもゲーム内容においても今じゃ完全にFIFAの方が上。ウイイレが優れているのはグラフィックだけ」
そう、ウイイレは一時期から唯一のストロングポイントだった「Jリーグ」を乗っ取られ、数え切れない程のファンを失った。さすがに私もその時ばかりは意気消沈したよ。だって中学の頃からずっと慣れ親しんできたゲームだし、ウイイレはJリーグと共にあったからね。
まあ、それでも愛着というものは強い。いつか復活してくれることを期待してウイイレをやり続けた。
本音を言ってしまうと現状の差を比較するために、FIFAを購入したこともあったよ。でも、その当時は完全にウイイレ慣れしていたこと、FIFAのグラフィックのショボさ、操作の違いが大きなネックとなって、結局ウイイレがベストという結論に至ったわけ。
とはいえ、FIFAのボリューム(ライセンス・チーム数・選手数・パラメーターなど)には圧倒されたなあ。
収録チーム・選手はすべて実名。ユニフォームだってリアル。さらにサッカー通にはたまらない主要リーグの下位リーグ(3部以下)まで収録。
もう圧巻のひとことだった。
そりゃあリネームありきのウイイレはさらに立場が弱くなるってもんだよな。
もともとウイイレは偽名がデフォルトのサッカーゲーム
確かにFIFAのボリュームはエグいし、申し分ない。サッカー通でウイイレに愛着がないなら迷うことなく購入するだろう。
しかし、ウイイレはそもそも偽名がデフォルトのゲームなのよ。今でこそ一部実名が適用されるようになったけど、昔なんてほとんどが偽名だった。ヨーロッパリーグ名鑑を片手に、偽名チーム・選手を自らリネームしたり、作り込むことが楽しみだったわけ。
まあ、今は時代が時代なのでそんなの面倒くさいってなっちゃうんだけどさ。汗
それでもあの頃は偽名のチームと選手を実名にしていくことが喜びだったんだよなあ。
ウイイレはボリュームでこそFIFAに劣っているが、日本が制作していることもあって細かい配慮や作り込みが素晴らしい。一方、FIFAはいかにも海外っぽいというか全体的に作りが雑。
自分自身が監督になった気分で遊べる両者のゲームモードを比較してみると、ウイイレ(マスターリーグ)は監督の顔を自由自在に作り込める。一方でFIFA(キャリアモード)はプリセットから妥協して選ぶほかない。
こういった細かな部分を比較すると、やっぱりウイイレの方が優れてるんだよね。特にマスターリーグのようなチームを強化していくモードを愛してやまない人間にとって、作り込みができないのは致命的なのよ。
いつからだろう?マスターリーグが楽しめなくなったのは・・・
私はウイイレ厨ではあるものの、マスターリーグ(オフ専)さえプレイできればいい人間。その他モードはほぼ興味がなく、「弱小チームでてっぺん(世界)を取る」という本来のマスターリーグの在り方で楽しんでいる。
つまり、自らが監督になって(気分になって)強いチームに育て上げていくことに喜びを感じているわけ。だから、作り込み要素の薄いFIFAは響かなかったんだよね。確かにウイイレは収録チームが少なく偽名が溢れているよ。リネームしないことには気持ち悪くて仕方がないし。汗 でも、作り込める要素があったから結局やり続けたんだと思う。
が、以前から見て見ぬフリをしてきた部分があったんだよ。
それはCPUのエフェクトが酷すぎること。これが原因でいつしか楽しむことができなくなり、ストレスを抱え込むだけのゲームになってしまった。
これはきっと私のようにオフ専門でマスターリーグだけをやって来た人なら理解してくれるはず。
ゲームレベルを上げるほどファールの取られ方が理不尽になるし、どうみても悪質なファールがかんたんに流される(ゲーム内で審判買収かよw)。もうね、明らかに「あーこれ、エフェクトが効いているな」とか「このシーンはエフェクトが発動するな」とか、顕著に表れるんだよ。
そのため、ゲームレベルを高くするほどストレスが溜まり、自分のサッカーを実現する喜びが得られなくなる。現状では納得できるゲームレベルが用意されていないのだ。
残念ながら2019年のマスターリーグもそうだった。
ぶっちゃけ私が現状のウイイレに求めていたことはライセンス云々ではない。
理不尽な部分の改善である。
私は一向に変わろうとしないウイイレに嫌気がさした。だから評価の高かったFIFA19に手を出したのだ。
「どうせまたウイイレに戻るに違いない。どっちみち世界は変わらないんだ・・・」そう思いながらFIFA19をプレイ。すると・・・
なんとそこには私がずっと求めていた喜びが詰まっていたのである。
よりリアルなサッカーが味わえる「FIFA」に感激!
私は完全ウイイレ厨だったこともあり、FIFAの良さに気づくまで時間を要した。しかし、操作に慣れキャリアモードをやってみるとなんとも爽快でステキな世界が広がっていたのよ。
ウイイレはあくまでエフェクトを対策して勝利へ持っていく「作業ゲー」だったが、FIFAは良くも悪くも“リアルなサッカー”を反映していたんだよね。
このとき、ウイイレがどれだけリアルなサッカーからかけ離れているかを痛感した。やはりウイイレは「サッカーゲーム(アクション)」でしかないんだよ。
人間は動きやパフォーマンスに限界がある。それを上手くシミュレートしているのがFIFA。パスにしろシュートにしろドリブルにしろ、現実離れしたプレイはできないし、それをしようと思っても動きが悪くなってミスにつながる。
これだよこれ!私が求めていたリアルなサッカーは!!
FIFAはリアルなサッカー同様、選手はいくらでもミスをする。能力の高い選手にあればハイパフォーマンスにはなるけど、やはりミスは付き物なのだ。
すなわち、下位チームが格上チームに勝つことの難しさを痛いほど体感できるリアルなシミュレーションゲームというわけ。
視点を変えるとFIFAはゲーム性がない。しかし、サッカー通で自分のクラブをとことん具現化したい人にはたまらないと思う。リアルなサッカーを自宅でシミュレートできるわけだからね。
グラフィック問題はやがて慣れるから気にしなくていい
私は現在キャリアモードにどっぷりハマっている。
操作にも慣れたし、当時ネックだったグラフィックも気にならなくなった。
まあ、長い間ウイイレをプレイし続けたこともあって慣れない部分や不満な点はある。だけど、リアルなサッカーがシミュレートできているだけ幸せなんだよな。キャリアモードのワクワクったらないし。
今後ウイイレのように細かな配慮が導入されたなら、FIFAはきっと最高のサッカーゲームになるだろうね。
でも、次の部分がどうしても好きになれない。汗
・日本語カナのフォントが半角でダサい
・選手の作り込み(特にフェイス)が甘い
・編成画面で選手の能力値チェックを即座にできない
・可変フォーメーションの作成が面倒くさい
・日本語実況のやる気のなさよ
これらは即効で改善してほしいな。
グラフィックは以前のFIFAと比較するとかなり向上していると思う。
だからこそ、細かな部分はウイイレに寄せて欲しいなと。
弱小チームが勝利(勝ち点3)を掴むことの厳しさを味わえる
FIFAの醍醐味は何といっても「キャリアモード」にある。ウイイレとは桁違いのボリュームなので、イングランドリーグにおいては4部まで収録されている。私はとにかく弱小チーム以外興味がなく、さらに緑色が好きなので(地元クラブ「松本山雅」が緑だからではなく、小さい頃から本当に緑が好き)、基本的に最下部リーグの緑色のチームでスタートする。
現在はイングランド4部(正式にはEFLリーグ2)の「フォレスト・グリーン」でプレイしているが、非常にリアルなサッカーをシミュレートできており、心から満足している。
たとえば、
1)大会では格上すぎるチームとあたり、現実をつきつけられる
2)ゲームならではのパターンを見つけて攻略という戦法が通用しない
3)リアル同様リーグ4部のチームがプレミアリーグ所属のチームに勝てる確率はきわめて低い
4)勝ち点3をつかむことの難しさ
このように下位リーグのチームが勝利を手にする厳しさ・苦しさというものを痛いほど味わえるわけ。
言うまでもなく、下位リーグ所属のクラブチームはきわめて貧弱。選手は全体的に能力が低くスターなんていないし、ポテンシャルを感じる若手すらいない。おまけに資金も少ないので何とか選手のストロングポイントを見つけて、それを生かした戦術を組む他ないのである。
厳しいなかで必死にやりくりしてなんとか好成績を残し、わずかな予算で弱点を補強し、徐々に強くしていく・・・。「いや、そんなゲーム地獄じゃん?なんでバルサやレアル使わないの?バカなの??」と思う人間もいるだろうさ。
けどね、私は・・・
これがたまらないのだよ。
そうです、私はマゾですw
このように下位クラブの苦悩がガチで味わえるゲームはFIFAがベストだろうね。
エフェクトはウイイレほど理不尽ではない
さて、FIFAのエフェクトに関して。
私は「キャリアモード」しかプレイしていないが、ウイイレのような理不尽エフェクトは一切感じなかった。まあ、実際はFIFAでもエフェクトが効いているんだろうけど、ウイイレのそれが異常すぎて麻痺っているのかもしれないw
なんていうのかな、FIFAで唯一「苛立ち」を感じるとするならば、それは下位クラブがゆえに勝てないという本当の悔しさを味わうためだ。つまり、弱小ゆえに思い通りにサッカーができないという苛立ちね。
まあ、これもリアルなサッカーを堪能できている証拠だよね。
正直なところ、自分がここまでFIFAにハマるとは思っていなかったし、結局はウイイレに戻るだろうと思っていた。しかし、FIFAの本気を知ってしまった今はもうウイイレに戻ることはできない。
ということで、どっちが面白いかと問われれば、私は自信をもってFIFAと答える(あくまで2019年においては)。
世界的に売れてるのはどっち?「FIFAとウイイレの売上比較」
最後にFIFAとウイイレの売上比較について。
結論からいうと、圧倒的な売上を誇るのは「FIFA」である。
ただし、日本においてはウイイレの方が売れている。これは古くからのウイイレファンがいることと、日本に特化したサッカーゲームということの2点が影響していると思われる。
やや情報が古くて申し訳ないが、2018年のPS4タイトルの売上本数(日本)は次のとおり。
ウイイレ2018・・・155,354本
FIFA18・・・108,235本
(※2018年6月時点の集計)
なお、全世界での売上本数はFIFA18が5機種で約586万本、一方のウイイレ(海外版はPES)は初週の売上で19万本。ま、世界的に売れているのはFIFAで間違いないというわけだ。
また、某掲示板にアップされたFIFAとウイイレの売上数位はこちら。
流石にこれはFIFA派によるネガキャンか、単なるネタだと思う。しかし、今後はここ日本においてFIFAの売上がウイイレを大きく上回る可能性は十分にある。
なぜなら現状のウイイレはライセンスの部分で大敗、Jリーグの権利を取られたこと、さらにCLとELのライセンスまでも取られ、多くのファンを悲しませているからだ。おまけに2018年から大した進化が見られないしね。
残念だけどこれが現実なのさ・・・。
【総括】さようなら、ウイイレ
私はウイイレに感謝している。
私の青春は常にウイイレと共にあったし、ムシャクシャした時も辛い時もマスターリーグが解消してくれた。
しかし、ウイイレは時代の流れによって次第にオンラインに力を注ぐようになり、オフラインの目玉であるマスターリーグへのこだわりと情熱が失われていった。当然ながらコアなファンはこれに落胆すると共に怒りを感じた。
私は今、完全にFIFAの虜。
正直言ってもうウイイレを購入する気にはなれない。
それでもウイイレの再起は心から願っているよ。でも、製作陣が本気にならないかぎり何も変わらないと思ってる。
コナミさん、マイクラブで安定して稼ぐだけでは商品価値が薄れていく一方だよ。
あばよ、ウイイレ。