子供のころ「松本あめ市」が開催されると、親に連れられよく行ったカレー店がある。
カレーの店「デリー」だ。
いつぞやの風景#31
今はなきデリーのカニコロッケカレー pic.twitter.com/mbYWpQM7we— ショギョウムジョウ | 信州の飲兵衛ブロガー/ライター (@shogyomujo_n) March 9, 2021
中町通りの雰囲気とフィットした「和」を感じさせるカレーは、多くのリピーターを獲得。松本市の名カレー店として有名だった。
しかし2017年7月、デリーは閉店した。
あの優しい味わいがもう食べられないのかと思うと絶望にも似た感覚に陥るが、当記事ではこれまでの感謝を込めてカレーの店「デリー」についてまとめる。
カレーの店「デリー」とは
カレーの店「デリー」は、松本市中央2丁目・中町通りにて営業していたカレー専門店。イマドキのスパイスカレーとは異なり、どこまでも懐かしく優しい味わいのカレーを提供し続けていた。
MAP
店舗は中町通りならではの「なまこ壁の土蔵」そのもの。
店内はけっして広くないものの、どこまでもノスタルジックな空間だった。
デリーの外観
出典:Googleマップ
このようにかなり激シブな風貌。
まさに「和」と言った感じだが、提供されるカレーも和風テイストだったように思う。
その味わいをまとめるとこんな感じ。
- ①:トータルで見ると家庭的なやさしい味わい
- ②:濃さはどちらかというマイルド
- ③:辛さは甘口で後からピリッと感がやってくる
- ④:スパイス特有の苦みもプラス要素
- ⑤:トッピングがどれもかわいいサイズ感
この味わいは定期的に食べたくなるし、癒し効果がバツグンだった。
客層は観光客がメイン。
コアな常連が入り浸るというような店舗ではない。
しかし、松本市内ではあまりにも有名なカレーの老舗だった。
デリーのメニューラインナップ
デリーのメニューラインナップは次のとおり。
- インドチキンカレー・・・750円
- 辛口ビーフカレー・・・700円
- 辛口ポークカレー・・・700円
- ビーフカレー・・・650円
- ポークカレー・・・650円
- カニコロッケカレー・・・750円
- カツカレー・・・850円
- カニコロッケライス・・・700円
後はコーヒーやジュース、瓶ビールのドリンクメニューが数個ほど。
非常にシンプルなメニューラインナップだった。
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デリーが閉店した理由
カレーの名店「デリー」が閉店した理由は店主の体調不良。
閉店直後の店舗には次のような張り紙がされていた。
「この度体調不良により閉店させて頂くことになりました 創業以来四七年にわたり皆様のご厚情を頂き心より感謝申しあげます」
この張り紙を読んだときは目頭が熱くなった。
デリーのカレーをもう食べることができない圧倒的絶望感と、またひとつ昔ながらの素敵な飲食店がなくなる寂しさと…。様々な感情が混ざり合うものの、そこにできた色は濃い目のブルーだった。
デリーをこよなく愛した人からすれば、これほどの悲報はなかったはず。
しかし店主が継続できないと判断したのだから、ファンであるならその決意を受け止めなくてはならない。
閉店は実に残念なニュースであるが、これまでに数え切れないほどの感動を与えてくれたデリーに心から感謝したい。
店主の体調は良くなっただろうか?
私はいまでもあなたの作ったカレーの味を思い出します。
現在のデリー跡はどうなっているのか?
現在のデリー跡(壱の蔵)は、松本市制定の「市登録文化財制度」の第1号に認定されている。
出典:市民タイムス 2019/9/27号【1】
この市登録文化財制度は、松本市における近代遺産に認定された歴史的建造物を保存活用することが目的。旧デリー建物は管理保存の新しい財政支援制度を活用し、建物が「松本市の民芸」を発信する拠点として生き続けていく。
なお、現在はドライフルーツ専門店「壱の蔵」として営業している。
私なんぞのデリーにおける思い出
私にとってデリーは松本市でもっとも好きなカレーの老舗。子供の頃「あめ市」や「ナワテ通り」に寄った帰りによく連れて行かれる定番の店だった。
しかし大学入学と共に信州をはなれて以降、行く機会はほぼゼロに。おまけに卒業後は東京で暮らしていたこともあって、とうとう閉店まで足を運ぶことができなかった。
Uターン後の松本市は想像以上に都会でビックリ。
「あれ?俺の知ってる松本じゃない!?都会化してる・・・」
大学からUターンするまでの期間は約15年。良くも悪くも変わってしまった松本市に様々な思いを抱いていると、思い出のカレー店「デリー」が閉店したことを知った。
足を運ばずにいたことを後悔する日々
あれはネットで松本市のローカル情報を探していたときだったと思う。その情報の一部に「デリー閉店」という信じられないテキストを目にしたのだ。
ウソであることを願い、デリーについて調べたところ閉店は事実だった。
ショックなんて言葉では片づけられない。
閉店前に店舗へ足をはこぶ機会など何度もあったのに・・・。
私はそれから2週間ほど後悔する日々を過ごした。
もう、このマッチすら手にできない。
蔵構えのいかにも中町通りらしい外観。
レトロなんだけどオシャレが漂う独特の空間。
本当に心地が良かった。
そして何より優しさに満ちあふれたあの「和」を感じるカレーに何度も癒された。
人間はどこまでも心理的な動物。
閉店を知って以降、私の夢には幾度となくデリーが出てきた。
今だって愛してる「カニコロカレー」
私がこよなく愛したメニューは「カニコロカレー」。
スパイスはほどほどに、何もかもが優しさに包まれているかのような味付け。
現代的なカレーというよりは家庭的なカレーに近かったかもしれない。そのため、現代的なカレーに慣れている人にはまったく響かないケースも。
でもいいんだよ。
そんなことはどうだっていい。
私にとってはデリーのカニコロカレーは至極なのだから。
どんなに願ってもこのカレーはもう食べることができないが、死ぬまでこの味を忘れずにいようと思う。
【まとめ】デリーのカレーよ、永遠に
カレーの店「デリー」は残念ながら閉店してしまった。
しかし、あの空間と味はいつまでも私たちの心の中で生き続けると思う。
しばらくはショックで立ち直れずにいたが、保管しているデリーのマッチ箱を眺めては思い出をネガティブにしないよう強く意識している。
最後にデリーの店主さん、あなたのカレーがもう食べられないことは非常に残念ですが、1日でも早いご回復をお祈りいたします。
デリーは永久に不滅。
カレーが好きで好きで仕方ない人向け
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