子供の頃「松本あめ市」が開催されると、親に連れられよく行ったカレー店がある。
カレーの店「デリー」だ。
数年前まで東京に暮らしていた私は、まったくもって松本市の近況を把握できていなかった。てっきりデリーは今も営業しているものと思い込んでいたのだが、まさかの閉店情報を知る…。
もうあの優しい味が食べられないのかと思うと、絶望にも似た言葉では表せない心境になった。
この記事では私とカレーの店「デリー」の思い出なんぞを語らせて頂ければと。
帰郷後、随分と都会化していた松本市
長野県中信に帰郷後、久しぶりに松本駅前に行ってみた。
そのときの衝撃ときたら今も忘れない。
「あれ?俺の知ってる松本じゃない・・・松本が都会化してる・・・」
10年ほど東京に暮らしていたので都会には慣れているが、まさか松本がここまで都会化するとは想像もできなかった。
あくまで私が知る松本は高校時代に見た松本でストップしており、今現在の松本駅前のように数々の飲食店やオシャレな店舗に溢れる街中ではなかったわけよ。
とはいえ、松本市が持っている特有の雰囲気は残っている印象。松本城~縄手通り付近は良い意味でそこまで変わっていなかったので、ホッとした部分はある。無論、マイナスに傾いたな…と感じる部分もいくつかあるが…。
そんな良くも悪くも変わってしまった松本市。
その中で大好きだったカレー店「デリー」が閉店したことを知ったのは数日前のことだった。
カレーの名店「デリー」が閉店…
あれは何の探し物をしていたときだったろう?
かすかな記憶だけど、ネット上で縄手通り近辺の飲食店を探していたのだと思う。そのときにデリーの情報が出てきて閉店していることを知ったんだと思う。
まあそれはそれはショックで、閉店前に松本駅前に行く機会は何度もあったので後悔するばかりだった。
蔵構えのいかにも松本らしい外観に、レトロなんだけどオシャレが漂う独特の店内は本当に心地が良かった。そして何より優しさに満ちあふれた味付けのカレーが旨かったんだよね…。
デリーってさ、カレーの旨さだけでなくお店の雰囲気の良さもセットで好まれていたと思うんだよなあ。
閉店を知ったその日の夜は、デリーで好物の「カニコロカレー」を食べながら泣くを夢を見た…。
今だって愛してる「カニコロカレー」

デリーのカニコロカレー(700円)
私がこよなく愛したメニューは「カニコロカレー」。
スパイスはほどほどに、何もかもが優しさに包まれているかのような味付け。
現代的なカレーというよりは家庭的なカレーに近かったかもしれない。そのため、現代的なカレーに慣れている人にはデリーのカレーって響かなかったかも。
と、こんなことを書いたところでもうデリーは閉店している・・・。
どんなに願っても愛してやまないカレーを食べることができないのだ。
記憶が曖昧になるまでは生き地獄と言ってもいい。
なぜ閉店してしまったのか
さて、松本市のカレーの名店「デリー」が閉店した理由をば。
閉店直後の店舗には次のようなメッセージが書かれた張り紙がされていた。
「この度体調不良により閉店させて頂くことになりました 創業以来四七年にわたり皆様のご厚情を頂き心より感謝申しあげます」
このように閉店理由は店主の体調不良。
閉店の張り紙を読んだときは目頭が熱くなったな。もうデリーのカレーを食べられない絶望感、またひとつ昔ながらの素敵な飲食店がなくなる寂しさ…。悲しみが一挙に混ざり合ってブルー一色になったわ。
デリーをこよなく愛する人からしたらさ、これほどまでの悲報ってないよね。
でも、店主が継続できないと判断したのだからそれはファンであるなら受け止めてあげなくてはいけない。これまで数え切れないほど私たちを喜ばせてくれたのだから、心からありがとうってさ。
店主さん、体調良くなったかな。
今まで沢山の感動を与えてくれて本当にありがとうございました。
【総括】デリーのカレーは唯一無二
そりゃさ、カレーなんて今やどこでも食べれるよ。
旨いところ増えているし。
でも、そういうんじゃないんだよね。
デリーのカレーっては唯一無二だったし、他店ではけっして真似できない味だったからさ。
今はショックで立ち直れず、保管していた上デリーのマッチ箱を眺めている。
悲しいかな、かつてはヘビースモーカーだったけど現在は一切吸わない。
私は一生、デリーのカレーを忘れることはないだろう。
デリーの店主さん、あなたのカレーがもう食べられないことは非常に残念で仕方ないですが、1日でも早いご回復をお祈りいたします。
【追記】旧デリー建物が市登録文化財に!(2019/9/27)
市民タイムス 2019/9/27号より。
記事によると旧デリー建物(壱の蔵)が松本市制定の「市登録文化財制度」の第1号に認定されたとのこと。
同制度は松本市における近代遺産に認定された歴史的建造物を保存活用することが目的。今後、旧デリー建物は管理保存の新しい財政支援制度を活用し、建物が「松本市の民芸」を発信する拠点として改修される見通しだという。
どのように改修され活用されるか具体的にイメージできないけど、放置状態よりはいいのかもしれない。
が、思い入れが詰まった建物だけに、間違った魅せ方だけはしてほしくないね。
引用:
市民タイムス2019/9/27号【1】
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